アロマテラピーを安全に利用するために必要な注意事項を学びます。「安全のための注意点」と共に、しっかり頭に入れてアロマテラピーを楽しみましょう。
自己責任の原則
「アロマテラピーに関する法律」でも学んだように、アロマテラピーを楽しむ際には「自己責任の原則」という考え方が基本になります。
ここで紹介するアロマテラピーの実践に関しては、自分や、自分の家族などの身近な人と楽しむ範囲であれば、法律では規制されません。
ただし、アロマテラピーを楽しむ人は、その結果起きたことの責任は全て自分にある、ということを十分認識しなければなりません。
法律による規制
例えば、化粧品や医薬品を無許可で薬として製造・販売することは「医薬品医療機器等法」により禁じられていますが、自分で楽しむために作ることまでは禁じられていません。
また、マッサージなどを業として行うことは「あはき師法」で規制されていますが、それがリラクセーションのためのサービス行為で、危険の伴うものでなければ、その規制には当たらないと考えられます。
常に清潔な環境で
手作り化粧品などを製作したり、アロマテラピーに関わる器具を用いる時は、衛生管理にも配慮しましょう。
衛生管理に関する注意点
- 手や指などを十分に洗浄してから行う
- 使用する器具を清潔に保つ
- 作業や保管する場所を清潔にする
製作物の保存について
トリートメントオイルや手作り化粧品などを製作した場合は製作日を明記し、下記の保存期間を目安にして早めに使い切りましょう。高温多湿を避け、冷暗所に保存します。
制作物の保存期間
- 水が含まれるもの:1~2週間
- オイルやクリーム:1か月程度
精油の保管
精油は空気(酸素)、紫外線、温度、湿度などの影響で成分が変化(劣化)するため、遮光性の密封できるガラス容器に入れ、直射日光と湿度を避けて冷暗所に保管します。
トラブルが起こったら
アロマテラピーを行っていて気分が悪くなったり、身体に異常を感じるなどのトラブルが発生したときは、すぐに使用を中止し、適切な処置を行いましょう。
- 芳香浴で気分が悪くなった場合
窓を開けるなどして、適宜、部屋の換気をします。 - 皮膚にトラブルが生じた場合
皮膚についた精油を清潔な大量の流水で洗います。赤み、刺激、発疹など、異常があれば医療機関を受診します。
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希釈濃度
トリートメントオイルや手作り化粧品などを作る際には、精油を植物油などの基材で安全な濃度に薄めます。この時、基材に対して精油が何%入っているかを表したのが希釈濃度です。
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)のガイドラインでは、肌につけて使用する際の希釈濃度の目安を1%以下、そのうち顔に使用する際は0.1~0.5%以下としています。
ただし、これらはあくまでも目安であり、個人の肌質や感受性、使用する部位や体調、アロマテラピー経験の有無などに配慮して調整することが大切です。
特に顔などの敏感な部分には、目安よりも低い濃度から始めると良いでしょう。まれに専門家は必要に応じて目安よりも高い濃度で使用する場合もありますが、十分な知識と経験を持った上で行えることです。
また、精油や植物油など天然の素材であっても、人によっては皮膚に合わないことがあるので、事前にパッチテストを行うと安心です。
パッチテスト
使用方法の通りに希釈した精油を前腕部の内側に塗り、24~48時間そのままにして、異常が起こらないかを確認します。異常が見られた場合はすぐに中止し、大量の清潔な流水で洗い流します。
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希釈の仕方
精油の滴数の計算方法(例)
希釈濃度を1%にする時の精油の滴数の計算を、植物油50mLの場合を例に行ってみましょう。なお、ドロッパー付きの精油ビンは、1滴で約0.05mL滴下するものが多いため、それを基準に計算しています。
計算方法
- 植物油50mLに対しての1%は何mLかを算出する。
50mL×0.01=0.5Ml - 1で出た数字を0.05mL(1滴)で割る.
0.5mL÷0.05mL=10滴
よって、1%の濃度にするには、50mLの植物油に対して精油が10滴必要だとわかります。
精油の滴数の計算式
上の例題のように、規定の濃度に希釈したい場合、基材の量に対する精油の滴数は下記の計算式で求めることができます。式が最後の0.05は一般的なドロッパーによる1滴の容量です。
- 希釈濃度0.5%にする場合
精油の滴数=(基材の量×0.005)÷0.05 - 希釈濃度1%にする場合
精油の滴数=(基材の量×0.01)÷0.05
精油の滴数と濃度
上記のような計算式を使わなくても、希釈濃度と基材量、精油の滴数の関係を
「0.5%は10mLに1滴」
「1%は5mL1滴」
と覚えてしまうのも良い方法です。
基材の量と滴数と濃度の関係
濃度 | 0.50% | 1% |
5mL | - | 1滴 |
10mL | 1滴 | 2滴 |
20mL | 2滴 | 4滴 |
30mL | 3滴 | 6滴 |
50mL | 5滴 | 10滴 |
覚えやすい方法で常に正しい精油の使用量がわかるようにしておきましょう。
滴数の計算
精油を皮膚に使用する際には、安全な濃度に希釈する必要があります。そのための精油の滴数計算はとても重要です。しっかり理解し覚えておきましょう。