健康的な生活の基盤と基礎となるのが食生活です。「食」の役割や、食物の栄養素とその働きについて知り、バランスの取れた健康的な食生活とはどのようなものか学びましょう。
「食」の役割
食事にはまず、エネルギーや身体の元となる栄養素を身体に取り入れるという大きな役割があります。しかし、人間の場合、そういった単純な目的のためだけに食事をするわけではありません。
味覚や視覚の楽しみを感じたり、家族や親しい人と団らんするといった、心身両面における様々な機能を、食事は果たしています。
ですから、栄養バランスはもちろん、味を美味しくする工夫や、季節の食材を取り入れること、共に食事をする人との会話を楽しむことなども大切な要素です。
「食」の持つ役割
食事には主に次のような役割があります。
栄養的側面
- 健康の維持・増進
- 病気の予防
QOLや人格形成の側面
- 食習慣・食文化の継承
- 美味しさから得る満足感・気持ちの豊かさ
- コミュニケーション
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栄養素とは
食事から取り入れ、生命維持などに利用する成分を栄養素と呼びます。糖質(炭水化物)・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル(無機質)の5つを五大栄養素と言います。5大栄養素は体内でお互いに作用しながら、それぞれの役割を果たしています。
また、水(水分)は栄養素ではありませんが、酸素とならび、生物にとってなくてはならない物質です。
人間の身体の半分以上は水から構成されており、体温調節や栄養素の循環など、様々な働きをしています。
5大栄養素の働き
糖質(炭水化物)
炭水化物は糖質と食物繊維からなる。
- 糖質
特徴・働き:消化酵素によってブドウ糖などに分解され、すぐにエネルギーと
なりやすい。
含まれる食材:穀物(米・パン・麺類)・芋類・砂糖など。
1gあたりのエネルギー量:約4kcal - ブドウ糖(グリコーゲン)
糖質は、米、小麦、トウモロコシなどの穀物などに多く含まれ、糖質が腸で消化されるとブドウ糖となり血液と一緒になって身体中に運ばれてエネルギーとなります。 - 食物繊維
特徴・働き:便通を良くする他、糖質の吸収を抑える、腸内の善玉菌を活性化させるなど
の働きがある。
含まれる食材:野菜・果物・海藻など
タンパク質
- 特徴・働き:筋肉、臓器、血液といった、身体を構成する主成分。アミノ酸に
分解された後、吸収される。
含まれる食材:肉類・魚介類・乳製品・卵・大豆など。
1gあたりのエネルギー量:約4kcal
アミノ酸
タンパク質を構成する要素。約20種類あるアミノ酸のうち、人間が体内で合成できず、食事から取らなければならない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸といいます。
脂質
- 特徴・働き:燃焼してエネルギーとなる。余剰分は体内で脂肪として蓄えられる。
摂り過ぎると生活習慣病を招く恐れもある。
含まれる食材:肉や魚介類などの脂質、食用油など。
1gあたりエネルギー量:約9kcal
ビタミン
- 特徴・働き:
栄養素の代謝を補い、身体の機能を正常に働かせる。A、B群(B1、B2など)、C、D、E、Kなどの種類がある。体内でほとんど合成できないため食事から摂取する必要がある。
含まれる食材:野菜、果物、肉類、魚介類など。
ミネラル(無機質)
- 特徴・働き:
身体の機能を調整する他、骨や歯、血液などの構成成分となる。カルシウム、リン、鉄、ナトリウム、マグネシウム、銅などの種類がある。体内で合成できないため食事からの摂取が必須。
含まれる食材:乳製品、魚介類、海藻類、野菜など。
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バランスの良い食事とは
バランスの良い食事と一口に言っても、年齢やそれぞれの生活スタイルによって理想の形は異なります。
さらに5大栄養素の中には、嗜好によって摂り過ぎてしまいやすいものと不足しがちなものがあります。以下を参考に、自分にとってのバランスの良い食事とはどんなものかを知りましょう。
一日に必要なエネルギー
心臓の鼓動を保つなど、生命維持に最低限必要な生命活動に使われるエネルギー量を基礎代謝量と言います。
これに、個々の活動量に見合ったエネルギーを加えたものが推定エネルギー必要量です。推定エネルギー必要量は年齢や性別、体型などによって異なります。
基礎代謝量
内臓の活動や体温維持など、生命活動に最低限必要となるエネルギー量のこと。年齢や性別、体重によって異なり、例えば30代の平均体重の女性であれば、約1150kcal。
推定エネルギー必要量
基礎代謝量に、個人の生活活動に要するエネルギー量を加えたもの。生活レベルが普通程度の30代平均体重の女性であれば、約2000kcal。
推定エネルギー必要量表
- 15~17歳:男2850、女2300
- 18~29歳:男2650、女1950
- 30~49歳:男2650、女2000
- 50~69歳:男2450、女1900
- 70歳以上:男2200、女1750
※生活活動が普通レベル(座り仕事の人など)の場合
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より
規則正しい食事がリズムをつくる
健康的な生活のためには、毎日決まった時間に3食摂ることが理想です。食のリズムを整えることで、身体のリズムも整い、健康の維持に役立ちます。