ミエリンは酸化に弱く中高年になるほど物忘れ高齢ウツまで招く

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ミエリンが酸化すると情報伝達が滞る

脳の神経細胞をつないでいる神経線維(軸索)は、「ミエリン」という脂肪の膜に包まれており、そのおかげで情報伝達を迅速に行います。

私たちの脳は、年を取るとともに衰えますが、ミエリンも例外ではありません。というのも、ミエリンの主な構成成分は脂肪であり、酸化(酸素と結びつきサビつくこと)の害を受けやすいからです。

高齢になると、動脈硬化や運動不足が原因で血流が滞り、脳に新鮮な酸素が十分に送られなくなります。

すると、脳内に増殖した活性酸素(攻撃力の強い悪玉の酸素)によって、ミエリンを構成するコレステロールなどの脂肪が酸化しやすくなるのです。

ミエリンが酸化すると、絶縁体(電気や熱を通しにくい物質)としての性質が衰え、神経細胞間で情報を正しく速やかに伝えることが困難になります。その結果、物忘れなどの記憶障害が起こると考えられます。

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ミエリンの衰えは中高年でも防げる

従来、記憶力の低下は、脳の重要部位である「海馬」の衰えに原因があると考えられてきました。

海馬は、短期記憶の中枢であり、新しく見聞きしたことはもちろん、長期記憶から引き出した情報も一時的に海馬に保存されて、物事を思考したり、判断したりする基盤になります。

そうした海馬が衰える以外にも、ミエリンの酸化によって脳のネットワークが機能不全に陥り、記憶障害が起こる可能性が考えられるのです。

記憶は、情報をインプットする「記銘」、情報を貯蔵庫に留める「保持」、情報を思い起こす「想起」という働きから成り立っています。

この記銘・保持・想起が、神経細胞間で情報伝達を加速させるミエリンの働きによって、つつがなく行われています。

そこで、もし、ミエリンの酸化が進んで、記銘・保持・想起がうまくできなくなってしまったら、物忘れのみならず認知症(ボケ)を招く危険まで大きくなると考えられるわけです。

さらに、ミエリンの酸化は落ち込んだ気分が長く続く「高齢ウツ」にも関係しているのではないかと推察されます。

脳が加齢(年を取ること)によって衰えるのは仕方のないことですが、日常生活で様々なことを体験し、適度に刺激を受ければ、神経細胞のネットワークは何歳になっても発達します。それに伴って新たなミエリンが作られ、衰えミエリンの働きを補えるのです。

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