アロマテラピーを楽しむ時の基本は「自己責任の原則」です。アロマテラピーを個人で楽しむことは、基本的に法律の規制を受けるものではありませんが、いくつか気をつけるべき法律があります。
基本は「自己責任の原則」
精油でセルフトリートメントをしたり、化粧品を手作りするなど、アロマテラピーを個人で楽しむことを規制する法律はありません。規制を受けない代わりに、そこで生じた結果は全て自分で責任を負うことになります。
この考え方を「自己責任の原則」といい、アロマテラピーを自分自身で楽しむ時の基本です。しっかりと認識しておきましょう。
自己責任の原則
アロマテラピーを楽しむこと(精油の購入や利用、化粧品を手作りして使うことなど)は、自らの責任において、法令に反しない範囲で、また健康や安全を害することのないように行うべきであるという原則。
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アロマテラピーに関わる法律
現在、アロマテラピーそのものを規制する法律はありませんが、アロマテラピーに関わるいくつかの法律があります。プロフェッショナルを目指す人だけでなく、アロマテラピーを楽しむ上でも知っておきたい法律を取り上げます。
医薬品医療機器等法
正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の製造、製造販売(市場への出荷・流通)、販売やそれらの取扱いについて規制しています。
精油を医薬品や医薬部外品、化粧品と混同せず、この法律を理解して、扱いに注意することが必要です。
ポイント
- 「○○に効く」「○○の症状を緩和する」などと、効果・効能をうたって精油を販売・授与してはいけません。
- 行政の許可を得ずに、業として、化粧品(あるいは医薬品、医薬部外品)を製造(小分けを含む)してはいけません。
医薬品医療機器等法(旧薬事法)
薬事法が改正されたもので、平成26年11月に施行された。
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手作り化粧品を友人にプレゼントしてもいい?
ハンドクリームやボディーローションなど、精油を使って化粧品を手作りし、それを家族や友人にプレゼントすることは、法律上、問題になるのでしょうか。
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)は、家族や特定の友人へのプレゼントは「業として」製造することに当たらないと判断し、医薬品医療機器等法(旧薬事法)上違反とは言い切れないという見解を示しています。
ただし、プレゼントの際には、受け手に「自己責任」を自覚してもらえるよう十分に説明し、注意を促す必要があります。
また、その手作り化粧品によって相手に怪我などを負わせた時は、製造物責任及びその他の民事上の責任を問われる可能性があることを自覚しておきましょう。
景品表示法
販売業者などが、実際よりも誇大に高品質をうたったり、市場に見合わない価格を表示したり、過大な景品をつけたりすることなどを制限する法律です。
消費者が必要な商品やサービスを適正な判断で選ぶことができるようにするためのものです。消費者としては表示だけを鵜呑みにせず、様々な情報からサービスを選ぶことが大切です。
製造物責任法(PL法)
製造物の欠陥によって損害が生じたとき、製造業者や輸入業者に対して、直接、損害賠償責任を求めることができることを定めた法律です。消費者を守るための法律の一つです。
製造物責任法の立証責任
その製造物によって損害を受けたことの事実関係は、消費者側が証明する必要があります。
消防法
火災の予防や危険物の貯蔵・取扱いなどについて定めた法律です。精油には引火性があるため、消防法の規制対象の危険物に当たり、指定数量以上を保管する場合には、消防法及びそれに基づく「危険物に関する政令」の規制を受けます。
個人で楽しむ程度の量の精油であれば法的な規制は受けません。しかし、精油の引火性を十分理解し、精油や芳香拡散器などの使用、保管には注意を払いましょう。
引火性
精油には揮発性があり、火気に近づけると引火する可能性があります。
あはき師法
正式名称は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」です。
免許のない者が、あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅうなどの医業類似行為を業として行うことを禁じた法律です。
例えば、マッサージを業として行うには、あんまマッサージ指圧師という国家資格が必要です。
医師法
医師以外の者が医療行為を行うことを禁じ、医師の免許制度や業務上の義務が規定されています。
アロマテラピートリートメントを家族や友人に行う際、受け手の症状などから病名を診断したり、治癒と紛らわしい行為を行ってはいけません。また、精油を薬のように使用することも違法です。
獣医師法
獣医師の免許制度、業務上の義務などを規定した法律です。アロマテラピートリートメントを行う際、動物への診療行為をすることは違法となります。
動物とアロマテラピー
動物のトリミングなどは国家資格に属さず、この分野でアロマテラピーを行うことは違法ではありません。また、自分のペットにアロマテラピーを行うことにも法律の規制はありません。
しかし、動物は、人間とは体の大きさの感覚も異なり、またコミュニケーションも容易ではありません。十分に注意して行うようにしましょう。
アロマテラピートリートメントは法律違反?
エステティック、カイロプラテック、整体などでもマッサージに類似した行為が行われていますが、これにもあはき師法が適用されるのでしょうか。
法律上、明確な線引のなされていない現場で、公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)では、昭和35年の最高裁大法廷判決を受け、アロマテラピートリートメントが人体に対して危険を伴ったり健康を害したりする恐れがなく、リラクゼーションのためのサービス行為に止まるのであれば、医業類似行為にはあたらず、違法にはならないという見解を示しています。
昭和35年の判例
業としてする医療類似行為は、人の健康に害を及ぼすおそれのある業務行為でなければ禁止処罰の対象とはならず、「職業選択の自由」の範囲内で認められるとした。
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